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スパークのお知らせと新刊サンプル

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キミがいない(火黒本新刊サンプル)
両親が交通事故に遭ったという知らせに急遽アメリカに発った火神。連絡も一切取れない上、火神の傍には氷室がいると知ってショックを隠せない黒子。火神を恋しがり次第に不安定になっていく黒子にキセキたちは…。前半の切なさとうって変わって後半は火黒甘々です。

◆COMIC CITY SPARK 7参加(本人は欠席です;;)
東1ホールウ01b 長屋&アイツウシン 
NO.6でサークル参加していますが、火黒プチオンリーも参加させていただきます…!
東と西で遠いですが、お近くにお越しの際はよかったらお立ち寄りくださいませv

【新刊】
「キミがいない」…500円
【既刊】
「それは恋じゃねえのか」(これで残りラストです)…500円
「不感症なんです」(コピー本)…100円

◆(書店通販)とらのあな様→http://www.toranoana.jp/bl/article/04/0030/07/44/040030074456.html
K-BOOKSさまでも10/7から販売していただきます。

※そして今はST3の原稿中です…!
「それは恋じゃねえのか」の続き、「恋じゃねえ、愛なんだ」が出る予定…です。







[キミがいない]




蝉の声を聞きながら、うだるような暑さの中、毎日毎日練習に励んだ夏休み。
数日が完全オフになった以外は、ほとんど毎日バスケをしていた。
練習が休みの日は、買い物に付き合ったり、一緒に宿題をした。
だからこの夏、顔を見ない日はほとんどなかったのだ。
声を聞いて言葉をかわし、他愛ない話をして、時には言い合って喧嘩もして、なんとなく気がつけば仲直りしていて。
真夏の太陽みたいに、目線の少し上にあるのが当たり前だった。
そこから見上げた彼の空は、いつもからっと晴天だった。
強い光に目を細め、手で遮りながらも、その眩ゆさが傍らにあるのが至福だった。
そんな日々。


彼の存在は、いつの間にか、ごく自然にいつも隣に在ったから。


それがある日突然。
いなくなってしまうなんて。
考えてもみなかったのだ。







もしこのまま。
このまま、もし火神が帰ってこなかったら。もうニ度と会えなくなってしまったら。
そう考えるとこわい。こわくて仕方がない。
会えなくなるなんて、考えてみたこともなかった。
夏休み最後の日も、一緒にバッシュを買いに行って、帰りに火神のマンションに寄って、宿題の追い込みを一緒にやって〈主に火神のを手伝った〉、火神の手料理で夕食をとって別れた。
明日、寝坊しないでくださいよ。学校あるんですからねと、ちゃんと釘を刺しておいたのに。
翌日の朝、火神はバスケ部の朝錬にも来なかった。
(……まさか。あのまま会えなくなるなんて…。火神君に、もうこのまま会えないなんて)
そんなこと、考えてみたこともなかった。彼に会えない日がくるなんて。
キセキの世代に否定されたバスケを、通用しないと言われたバスケを、火神を利用して認めさせたかった。
苦しい胸の内を打ち明けた時、そんなことを言われてさえ、火神は揺るがなかった。自分の中の弱さと戦う覚悟が、彼の中にはしっかりとあったからだ。だから揺るがない。
それこそが彼の強さ。いつもそれに助けられてきた。
だのに、チームを引っ張って懸命に戦う彼の中に、ごく最近まで、無意識にかつての青峰の面影を見ていた、気がする。

僕は身勝手だ。そして欲張りだ。
結局何もかも失いたくなくて。手放したくなくて。
だから、その代償として、彼を失うんだ。
一番失いたくない、大事な人を。

「火神君……火神くん……」
呼べばいつでも、振り向いて応えてくれた。存在に気付いてくれた。声に出さない想いもちゃんと気付いてくれて、汲み取ってくれた。 
見かけは怖そうなのに、実はとてもやさしい人だった。
眩しいライトの中で、ふと足を止める。黒子に気付かない人たちが、肩をぶつけ、いったい何にぶつかったのかといぶかしむようにしながら、また歩き出す。
庇ってくれる大きな身体は、今はもう隣にない。
唇を噛み締めた。拳を震わせて、握り込む。
「火神君…会いたいです……」
火神君に会いたい。
絞り出すように、呟く。
だけども、それは夜の街の賑やかな喧騒の中、誰の耳に届くことはなかった。

『あ? 何つった?』
『えっ』
『え、じゃねえよ。今、なんか言っただろ』
『聞こえましたか? 車のクラクションがうるさかったので、やっぱり聞こえなかったかと』
『聞こえたから聞き返してんだよ』
『火神君、意外と地獄耳ですね』
『んだよ、もうちっと言い方あんだろ! まったくテメーは…。で、何だよ』
『明日から学校です』
『知ってるよ!』
『明後日はテストです』
『知って…えぇええマジで!? なんで始業式の翌日がテストなんだよ!』
『僕に言われても知りません。テスト勉強、がんばってください』
『冗談だろ、まだ宿題も終わってねーってのに、頑張ってください、じゃねえよ!』
『だから、これから宿題手伝いに行くんでしょう。どうせなら買い物は来週にして、午後から宿題すれば間に合ったのに、火神君、今頃言うからこんな時間からすることになったんじゃないですか』
『…そーだけどよ。バッシュももう穴空いてきてんだから仕方ねえだろ。つか、宿題のことなんかついさっきまで思い出しもしなかったし!』
『威張らないでください。僕はもうほとんど終わってるんですからね』
『……ハイ、すんません。なんで、頼むわ』
『晩ご飯、僕の好きなものにしてくださいね?』
『おう、お前が勉強やってる間に、お前の好きそうなモン、どっさり作ってやっから!』
『ご飯の前に、宿題です』
『嘘だろっ、腹が減ったら頭が回んねえだろーが!』
『そんなのは、頭がちゃんと回る人のリクツです。それに食べた後だったら、腹いっぱいになったら眠くなったーって、君、絶対寝ちゃうじゃないですか』
『…ううっ、よくわかってらっしゃる…』
黒子に責められ、大きな身体を小さくする火神をちょっと可愛いなと思いながら笑みを浮かべる。こんな風に言ってても結局はほだされて、宿題はほとんど黒子がやる羽目になるんだろう。
まあいいけど。…なんて、なんのかんのいいながら、僕は本当に火神君に甘い。
もっとも逆もあるから、持ちつ持たれつでいいのかもしれない。
―なんて、思っていた。
あの後、火神のマンション近くのスーパーで一緒に買い物をして、夕食を食べ、夜遅くまで宿題をした。〈主に黒子が〉
そして、泊まってくかと誘われたけど、制服の用意もなかったので、終電に間に合うように帰宅した。
『また毎日一緒ですね』
最初に火神が聞き逃した黒子の言葉は、火神には届かないまま、そして現実にはならなかった。
聞き返されても言わなかったのは、それがごくごく当たり前のことで、翌日になって学校が始まったら、わざわざ言葉にして言うほどでもない事柄だったから。
そして、悔やむ。
どうしてあの夜。一緒にいなかったんだろう。
制服なんて、朝になってから取りに帰ればよかった。そうしたら、最初の知らせを火神と一緒に聞き、彼を励まし、手を握り締めて、せめて空港まで付き添って1人発つ彼を見送れた。
結果論だとわかってはいても、やはり悔やまれる。
今頃、火神はどうしているだろう。氷室とどんな話をしているんだろう。
アメリカで一緒にバスケをしていた頃の思い出話を、2人で語っているだろうか。それとも、疲れた身体を彼の隣で休め、一時の安堵の中にいるんだろうか。これを機会に、仲直りも、きっとできただろう。
良かったですね、火神君。
これで君のつらそうな顔を見ずに済みますね。
ちょいちょい、君、つらそうな顔をしていたんですよ。
あんな顔させたくないって、ずっと傍で思ってたんです。
でもそれさえも見れなくなるなんて。
僕は、どうしたら良いんですか…?
君がいなくなってしまったら、僕はどうしたら良いですか?
もう会わなかった頃には戻れない、君を知らなかった頃には戻れないのに。
1人で、どうしたらいいんですか…?

鉛の塊でも飲み込んだように重い心を抱えながら、気がつけば、黒子は火神のマンションの近くまで来てしまっていた。






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