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恋じゃねえ、愛なんだ(火黒・新刊サンプル)

ShadowTrickster3発行の新刊サンプルで…した!
なぜ過去形かというと、なぜかこのブログでもお知らせしたつもりなのに、下書きのまま上がっていなかった!!ということに今ごろ気づいたからです…!ひええ、すみません!
ShadowTrickster3で委託販売していただいた分は、無事完売しました、ありがとうございます!
残りわずかだった「それは恋じゃねえのか」も完売しました!
あっ、こちらの方は、見本誌まで買っていただいたようで…!
見本誌は販売外ということでしたので、YOUさんの手違いのようですが。
そして本来ならお取替えさせていただくところなのですが、どうにも最後の一冊でしたので;; 
ご了承くださいませ。申し訳ありません;;
書店さんの方はとらのあなさんは完売していますが、K-BOOKSさんの方にはまだ在庫がございますので、よかったらぜひぜひ。
http://www.c-queen.net/ec/products/detail.php?product_id=140582



★付き合い始めたもののキス以上の関係に進んでいいものか悩む火神と、中学時代のとある出来事が思い出されて恐怖心で先に進めない黒子。
それでも二人の無意識いちゃいちゃっぷりは周囲が引くほど。
初デートでは青峰、黄瀬、桃井に遭遇して…。
『それは恋じゃねえのか』から続いていますが、単独でもお読みいただけるように書いています。甘々火黒です。そして1月発行の本に続く予定です。













「空がきれいですね」
「おう」
「もう秋ですね」
「まだ夏だろ。充分あちぃぜ」
「あ、赤トンボ」
「うおッ、蚊がいやがった! このやろ」
「そろそろ虫の声も」
「蝉、ガンガンにうるせえし」

屋上の柵を背に凭れ、2人で昼食を取りながら、空を見上げる。まだ確かに夏の熱さは残っているものの、風は随分と心地よくなった。
その風に頬を撫でられながら、黒子が火神の返答にまったくもうと唇を僅かに尖らせる。
「…相変わらず、情緒ってもんがまるでないですね、君は」
呆れたように言う黒子に、あっさりと火神が返す。
「んなもんあったって腹は膨れねーって。おら、さっさと食えよ。時間なくなっちまうぜ」
噛み合わない会話も笑顔ひとつで払拭する火神の大らかさに、黒子が目を細めて口許を上げる。こんな何気ないやりとりが、つい笑みがこぼれてしまうくらいに楽しい。
「僕はあとプリンだけですから。火神君、まだ残ってるんですか?」
「俺もあと3個ぐれーかな」
コンビニの袋の中を覗き込んで、火神が応える。黒子はプラスチックのスプーンを取り出し、掬いにくそうにしながらプリンを食べ始めた。
「残りだけでも僕の3倍です」
「お前、食わなさすぎなんだよ」
「燃費がいい証拠です。少しの栄養でたくさん動けるんだったら、その方が経済的です」
「動けるんならな。けどお前、いっつも練習の最後の方、完全ガス欠じゃねえ?」
プリンのスプーンを咥えたまま、黒子がむっと横目で火神を睨む。
確かにその通りだけど。練習が終わるなり、体育館の床にべたりと倒れこむのも、もう日常茶飯事だけど。
手を抜かずに力を出し切ってるせいです、努力の賜物ですと珍しく早口に返して、黒子が残りのプリンを一気に掻き込む。そして、ふうと溜息をついた。サンドイッチ一個とコーヒー牛乳とこれだけで、早くも胃は満杯状態だ。
「プリン食べ終わりましたよ。火神君、まだですか?」
「あと1個」
「ジャンク読んで待ってます」
「あっ、お前、それ俺が買ったやつじゃねーかよ、先読むな!」
当然のように別の袋から雑誌を取り出す黒子に、パンをかじりながら待てと火神が手を伸ばす。
「ケチですねえ。じゃあ、僕が先に読んで火神君に内容を教えてあげます」
「いらねーよバカ! あとで読む楽しみがなくなんだろうがっ、こら返せ!」
「嫌です」
「テメ…!」
伸ばされた火神の手に腕を掴まれ引き寄せられ、黒子の身体がいとも簡単に火神の膝の上へと引き上げられる。
「返せ、つーんだよ」
「うわ…っ」
「お…」
ぐいと力まかせに引いたはいいが、思いのほか軽々と接近してきた黒子の身体に、引っ張った当の火神が眼前まで来た黒子の瞳にぎょっとなる。
黒子の手から雑誌がばさりと落ちて、パラパラと風にページが捲られた。が、もう2人ともそれどころではなかった。
「火神、君…」
「黒子…」
鼻がくっつきそうなほどの至近距離で見つめ合って、黒子が頬を染め、ごく自然な流れで目を閉じる。黒子の両の二の腕を捕らえ、火神が自分の肩へと回させる。唇が近づき、そっと触れ合った。
くすぐったいくらいの微かな触れ合いなのに、それでも胸の奥と頬が熱い。一度離れ、見つめ合って、確かめるようにもう一度、そっと重ねた。
今時、中坊だってもう少し大胆なキスをするんじゃねえか?
頭の隅で火神が思うが、今の自分たちでは、これでもいっぱいいっぱいだ。たったこれだけのことで、体温が上昇する。掌がじとりと汗ばむ。
唇が離されるなり、互いに我に返ったように、かぁあっと赤面した。
「火神君、ここ、学校です…」
「…知ってるよ」
「なら…いいんですが」
何がいいのかよくわからないまま、黒子が目許を赤らめ、横を向く。それでも火神の足の間に身を置いた状態で、肩に回した腕は解かない黒子に、火神がそっとその薄い背を抱き寄せた。抵抗するかもと思ったが、黒子はあっさりと体重を預けてくる。
「…誰がきたら」
「だから、ちっとだけな」
「……火神君」
ちょっとだけなら、と自分への言い訳のように小さく呟き、黒子が火神の肩口で目を閉じた。
屋上を、心地よい風が吹き抜けていく。
なるほど、1週間前まではまだじっとりと汗ばむ熱気をはらんでいたのに、それが少し和らいでいる。確かに、季節は秋めいてきている。思いながら、火神が制服の袖口の青いラインの下から覗く、黒子の白い腕をちらりと見た。
腕、細ぇな。いや、しっかり筋肉はついてるし、他の男子もこんなもんかもしれないが。線が細いのか。それとも色白なせいか。
(…なんつーか。コイツだけ、男子なのに、やけにエロく感じんだけど)
そう思うのは、やはり意識しているせいだろうか。当たり前だが、他の男子の腕を見ても何とも思わない。それどころか女子の腕を見ても、こんな風には感じないのだ。〈それはそれで問題かもしれないが〉
すぐ真近にある赤らんだ頬に、引き寄せられるように唇を寄せる。
(…うわ、やわらけぇ…)
男子のものとは思えない肌の滑らかさとやわらかさに、火神がつい我を忘れる。唇をずらし、耳朶を唇で軽く食んで、制服のシャツのボタンを一つ外して肩をずらせば、細い銀のチェーンが視界に入った。その先には、今、火神が身につけているものと同じ銀のリングがある。
そう考えるだけで、身体の奥が熱を帯びる。脇に手をいれ、抱きしめ直して、火神が露になった黒子の肩のラインに唇をふれさせた。
「だ、だめです…火神君…」
「もう、ちっとだけ」
「や…だめ、ですって」
「お前の肌すべすべで、こうやってっとすげー気持ちいい」
味わうように首もとへと唇を這わせた途端、びくり…とその身体が硬直した。
と、同時に、いきなり前から飛んできた黒子の手に、ストップです、と顔を押されて火神がのけぞる。
「うお、何すんだ、てめぇ…!」
バスケットボールを自在に操る強い力で顔を掴まれ、火神が『おいこらやめろ』とじたばたと藻掻く。黒子がその間に素早く火神から身を離すと、さらには自分の食べた後のゴミをまとめ、鞄を肩に掛けて立ち上がった。
「先に行きます」
「って、おい何だよ、どうし…」
慌てて伸べられた火神の腕を手で制して、黒子がくるりと踵を返す。逃げるように火神から離れた。
「え、ちょ、待てよ。まだ練習の時間までには」
「いえあの、僕、委員会の用事を思い出したので…! 先に行きます、じゃあ」
後の片付けは火神君にお願いしますと言い残して、黒子がひらりと背を向け、両手で屋上の扉を押し開く。
「おい、黒子…?」
いきなりどうした? 俺、何した??というように、1人屋上に取り残された火神は、派手な音をたてて閉じる扉を茫然と見つめた。






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