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新刊サンプル3

「それは恋じゃねえのか」(サンプル3)


合宿最終日は、近くの神社の境内で夏祭りが行われるとのことで、『まあ最後に羽を伸ばさせてあげるのもアリっかな~?』とのリコの計らいで、午後から民宿を出発する時刻までは各自自由行動が許可された。
とはいえ、羽を伸ばすどころか、いっそその羽をもぎ取られるんじゃないかと恐怖するほど、最後の仕上げの練習はキツかったけれど。
「うわー、すごい人ですね」
「へえ、えらく賑わってんだな」
「ここいらで合宿してる学生が、一気に押し寄せたカンジだなー」
「おおっ、浴衣だあ! いいねえ、夏祭りって萌えるな! なっ水戸部」
「…」
「えーマジ! そっか水戸部、浴衣モエかあ、わかるわかるその気持ち!」
「なんで水戸部の言ってることがわかんのか、俺にゃ、そっちのがさっぱりわかんねえよ、コガ」
「んなこと言ってないで、つっちー、早く来いよぉ、はぐれるぞー」
「うぉーい」
人込みの中を行く2年組についていきながら、延々と連なる出店の数に、火神がきょろきょろしつつ目を輝かす。
「おっ、唐揚げうまそう! 牛串もあるじゃねえか!」
「嬉しそうですね」 
「おう、うまそうなモンいっぱいでテンション上がるぜ」
言いながら、あっちの店こっちの店で食べ物を漁る火神に、それを持たされながら黒子がやれやれと溜息をつく。
「食べ過ぎですよ、火神君」
「何言ってんだ、まだ序の口だろうが」
「火神、こっちー。射的あるぜ、やろうやろう。うわ、すでに両手いっぱい食べ物持ってる!」
「お? 射的か」
「出来るんですか?」
「んなもん誰でも出来るっつーの!」
持ってろ。とさらに黒子の手に食べ物を押しつけ、火神が福田に手渡された銃で、店に並べられた景品に狙いを定める。そして、次々と狙い通りに景品を撃ち落としていく火神に、降旗たちから歓声を上がった。
「おおっ、すげえ!」
「うまいなあ、火神」
「百発百中ですね」
「どんなもんだっての」
「慣れてますよね。アメリカで本物撃ってたんですか?」
「ぁあ? 真面目な顔でとんでもねえこと言うな、んなワケねーだろ!」
「そうなんですか?」
「あったり前だろ! つか、黒子てめえ、俺のポテト勝手に食うな!」
「こんなに持たせるからですよ。――あ」
「ん。どした?」
ふいに雑貨の店の前で、黒子が何かを見つけたように立ち止まる。同じく立ち止まった火神を見上げ、黒子が大量に引っ掛かっているキーホルダーの中の一つを指差した。
「火神君。これ」
「ん?」
「これ、一緒に買いませんか?」
「バスケットボールのキーホルダーか。へえ、いいじゃねえか」
「じゃあ、お揃いで」
「…おう」
はにかむような微笑と上目使いで見られ、火神が照れ臭そうにあさっての方向を見ながら、同じものを指に取る。
「うおお、お揃いッスか! ずるいなあ、火神っち! オレも買おうかなー」
「黄瀬くん…!?」
「黄瀬!? なんでここに!?」
いきなり背後に現れた、見るからに目立つ派手な男に、2人が同時に驚いたような声を上げる。
「いやー、奇遇ッスねえ」
「海常もこのへんで合宿だったのか?」
「えー、まあそんなカンジ?ッス」
「嘘をつくな、黄瀬。お前は勝手に混ざってきただけなのだよ!」
「うわ、緑間っち!」
「秀徳も来てんのか!」
「何を言っている! 昨日から、誠凛と一緒の民宿に泊まっているのだよ!」
「あー、そうだっけ」
「そういえば」
洗面所で会ったような、と火神と黒子が思い出す。
「お前たち…! いったいどこまで不義理なのだよ…!」
「じゃあ、緑間君が黄瀬君を呼んだんですか?」
「そんな訳ないのだよ。誰がこんなバカを呼ぶものか。こいつが勝手に俺の携帯からメールしたのだよ!」
こいつと指差され、緑間の隣から高尾がひょいと顔を出す。
「だってメンバー豪華な方が楽しいじゃんか、真ちゃんも! なんせ桐皇まで来てるっつうんだからよ」
「こんなバカって、ひどいッス!」
「別に俺は会いたくなどないのだよ」
「まーまー、本当は嬉しいくせに」
「嬉しくなどない、いつもいい加減なことを言うな、高尾!」
言い合う緑間と高尾を見比べ、黒子がしみじみと言う。
「相変わらず、仲良いですね。緑間君と高尾君は」
「そーだろ。俺たちラブラブだもんな、真ちゃん!」
「なっ…! 気持ち悪いことを言うな!!」
「照れんなって。けど、そっちだって相変わらずらぶらぶじゃん、誠凛1年コンビ」
「えっ!マジでラブラブなんスか、黒子っち!?」
「まあ、そうです」
「ばっ…普通に認めんなっ!」
「ええええぇ、黒子っちと火神っち、いつのまにそんなカンケーになったんスか!? マジ有り得ないっスよ!」
「何騒いでんだ、相変わらずうるせーぞ。黄瀬」
さらに背後から近づいてきた色黒・長身の男が、そこに混ざった。
「うおお、青峰っちー! 久し振りっス! 相変わらずは余計ッス!」
「…どうも。昨夜はすみませんでした、青峰君」
「よお、テツ。あれから、こっぴどくシメられたかよ?」
「はい。絞められました。それは、もう」
「真顔て返すな、こえーだろ! って、何しに来てんだ青峰。黄瀬同様マジで暇なのか、テメー」
「ちょ暇って! そこでオレを出すのやめてほしいっス、火神っち! 誠凛も秀徳も桐皇までここで合宿って聞いたから、わざわざ慰労に来たんっスよ!?」
「手ぶらでか?」
「ひっどいスねえ、青峰っち! そりゃー、えっと何もないッスけど、代わりに俺のこのありったけの愛をみんなに贈るっス!!」
「行くぜ、黒子」
「行きましょう、火神君」
「じゃあな、黄瀬」
「行くぞ、高尾。とっとと帰って練習するのだよ」
「今来たばっかじゃん、真ちゃん。もっと遊ぼうぜ」
「ええええぇえ、ちょ、みんな、ヒドイっスよ~~!」


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